就活セクハラ対策が義務化|企業に求められる対策とハラスメント防止策

就活セクハラ(求職者等に対するセクシュアルハラスメント)の防止措置は、2026年10月1日から男女雇用機会均等法に基づく事業主の義務となり、すでに適用が始まっています。企業規模による猶予はなく、採用面接のほか、就職説明会、インターンシップ、OB・OG訪問、SNSでのやり取りも対象です。
厚生労働省の調査では、就職活動中の人の約3割が就活セクハラを経験していますが、企業に届いた相談は0.7%でした。「当社には相談が来ていない」ことは、被害がない証拠にはなりません。
本記事では、就活セクハラ防止措置の義務化の内容、企業が講ずべきハラスメント対策、未実施の企業が最初に着手すること、実施済みの企業が見直したい点を、厚生労働省の資料をもとに解説します。社長、人事担当者、管理職の方向けの内容です。
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本記事でわかること
- 就活セクハラ防止措置の義務化の施行日、根拠法、対象となる企業
- 厚生労働省の調査で分かった就活セクハラの実態と、企業のハラスメント対策の状況
- 「求職者等」「求職活動等」の範囲(OB・OG訪問、インターンシップ、内定者の扱い)
- 義務化で企業が講ずべき就活セクハラ防止の4つの措置(11項目)と面談ルールの作り方
- 義務化に対応しない場合のリスクと、未実施・実施済みの企業別の取り組み方
- (一社)日本産業カウンセラー協会のハラスメント相談窓口サービス
目次
1. 就活セクハラ対策は2026年10月1日に義務化済み

1-1. 就活セクハラ防止措置が義務化された内容と施行日
就活セクハラ対策の義務化とは、求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置が、2026年10月1日から事業主に義務づけられたことです。令和7年法律第63号による改正で男女雇用機会均等法に第13条が新設され、厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第52号)が具体的な措置を定めています。
職場のセクハラ対策は以前から義務でしたが、対象は自社の労働者でした。雇用関係のない求職者は対象外で、就活セクハラへの対応は「望ましい取組」にとどまっていました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年6月11日 | 改正法(令和7年法律第63号)が公布 |
| 2026年2月26日 | 求職者等セクハラ防止指針(令和8年厚生労働省告示第52号)が告示 |
| 2026年4月24日 | 厚生労働省が解釈事項(Q&A)を公表。同年9月30日に改訂 |
| 2026年10月1日 | 措置義務が施行 |
1-2. 職場のセクハラ対策との違い
就活セクハラ対策の枠組みは、職場のセクハラ対策とほぼ共通です。違いは、保護の対象と周知の相手、そして「求職活動等に関するルール」の明確化が加わった点にあります。
| 項目 | 職場のセクハラ対策 | 就活セクハラ対策 |
|---|---|---|
| 保護の対象 | 自社の労働者 | 求職者等(応募者、説明会・インターンシップ・OB・OG訪問の参加者、実習生) |
| 根拠条文 | 均等法第11条 | 均等法第13条(新設) |
| 周知の相手 | 労働者 | 労働者と求職者等 |
| 固有の措置 | なし | 面談の時間・場所・SNSなどのルールの明確化と周知 |
2. データで見る就活セクハラの実態

2-1. 就活セクハラは求職者の約3人に1人が経験
厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、2020〜2022年度卒業で就職活動またはインターンシップを経験した人のうち、インターンシップ中に就活セクハラを経験した人は30.1%、それ以外の就職活動中に経験した人は31.9%でした。令和2年度調査は25.5%で、設問の構造が異なり単純には比べられませんが、いずれも高い水準です。
男女別の経験率は、インターンシップ中が男性32.4%・女性27.5%、それ以外の就職活動中が男性34.3%・女性28.8%でした。男性のほうが高く、就活セクハラは性別を問わず起きる問題です。
2-2. 就活セクハラは面接以外の場面で起きやすい
インターンシップ以外の就職活動で就活セクハラを受けた人が挙げた行為者は、OB・OG訪問で知り合った従業員が38.3%、学校・研究室を訪問した従業員やリクルーターが37.0%で、採用面接担当者の25.1%を上回りました。インターンシップ中は、インターンシップで知り合った従業員が47.4%、インターンシップ先の上司・指導役が32.0%です。
被害の内容は、「性的な冗談やからかい」「食事やデートへの執拗な誘い」「不必要な身体への接触」が上位でした。人事部門の管理が届きにくい個別の接点ほど、就活セクハラのリスクが高いといえます。
2-3. 就活セクハラの相談が企業に届くのは0.7%
従業員30人以上の企業・団体を対象にした同調査では、過去3年間に就活セクハラの相談があった企業は0.7%でした。パワハラの64.2%、職場のセクハラの39.5%と比べて極端に低い数字です。調査の対象や期間が異なるため単純には比べられませんが、被害の多くが企業に届いていない可能性があります。令和2年度調査では、被害後に「何もしなかった」人が24.7%で、理由は「何をしても解決にならないと思ったから」が47.6%で最多でした。
ハラスメント対策の進み具合も十分ではありません。就活セクハラへの取組が「特にない」企業は全体で53.0%にのぼり、規模が小さいほど割合が高くなっています。
| 従業員規模 | 取組が「特にない」企業 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 42.1% |
| 300〜999人 | 48.0% |
| 100〜299人 | 55.7% |
| 99人以下 | 65.6% |
行為者に多かったリクルーター向けの「行動指針やマニュアルの策定・周知」は4.9%で、取組の中で最も低い割合でした。被害を受けた人の34.6〜40.0%は「就職活動に対する意欲が減退した」と答えており、就活セクハラは本人の職業選択にも影響します。
3. 義務化の対象範囲|就活セクハラにおける「求職者等」「求職活動等」とは

3-1. 対象となる人と場面
「求職者等」には、求人に応募する人のほか、事業主の採用に資する活動に参加する人と、実習を受ける人が含まれます。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 求職者 | 求人に応募した人、採用面接を受ける人 |
| 採用に資する活動の参加者 | 就職説明会やインターンシップの参加者、OB・OG訪問で自社の従業員を訪ねた学生 |
| 実習を受ける人 | 教育実習、看護実習などの実習生 |
| 対象外 | 授業の一環としての社会科見学、企業を招いた講演会の参加者(専ら教育目的) |
「求職活動等」の例は、採用面接、就職説明会、OB・OG訪問、インターンシップ、実習です。SNSなどオンライン上のやり取りも含まれ、場所は社内に限りません。飲食店や貸会議室、大学のキャンパスでも、懇親の場を含め、実質的に採用活動や実習の延長といえる場面は就活セクハラ対策の対象です(厚生労働省 解釈事項 問30)。
3-2. 就活セクハラに当たる言動
就活セクハラとは、事業主が雇用する労働者の性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害されることです。性的な内容の発言(性的な事実関係を尋ねる、性的な情報を意図的に広めるなど)と、性的な行動(関係の強要、必要なく身体に触る、わいせつな図画を配るなど)が含まれます。同性に対する言動も、相手の性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず対象です。指針は次のような典型例を挙げています。
| 場面 | 典型例 |
|---|---|
| 少人数の説明会 | 従業員が求職者の腰や胸に触る |
| インターンシップ | 性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行う。性的な内容のポスターや画面を表示する。私的な食事に執拗に誘う |
| 採用面接 | 面接官が性的な事実に関する質問をする |
| OB・OG訪問 | 訪問を受けた従業員が性的な関係を求める |
3-3. 内定者・役員・派遣スタッフの扱い
- 内定者:採用内定で労働契約が成立していれば「労働者」として職場のセクハラ対策の対象、成立していなければ求職者等として就活セクハラ対策の対象です(解釈事項 問27)。
- 役員・事業主:役員による性的な言動にも、必要に応じて適切に対応するよう努めることが望ましいとされています。
- 派遣スタッフ:派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、措置を講じる立場になります。
4. 義務化で企業が講ずべき就活セクハラ防止の4つの措置(11項目)

4-1. 義務化で求められる就活セクハラ防止措置の全体像
指針は、義務化された就活セクハラ防止措置として、①方針等の明確化と周知・啓発、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④併せて講ずべき措置の4つ、計11項目を定めています。
| 区分 | 講ずべき措置 |
|---|---|
| 方針等の明確化・周知 | ① 求職者等セクハラを行ってはならない旨の方針を明確にし、労働者に周知・啓発する |
| ② 行為者に厳正に対処する旨の方針と対処の内容を就業規則等に定め、周知・啓発する | |
| ③ 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確にし、労働者と求職者等に周知・啓発する | |
| 相談体制の整備 | ④ 相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する |
| ⑤ 窓口担当者が適切に対応できるようにする | |
| 事後の対応 | ⑥ 事実関係を迅速かつ正確に確認する |
| ⑦ 被害者への配慮措置を行う | |
| ⑧ 行為者への措置を適正に行う | |
| ⑨ 再発防止措置を講ずる | |
| 併せて講ずべき措置 | ⑩ 相談者・行為者等のプライバシーを保護し、労働者と求職者等に周知する |
| ⑪ 事実確認に協力した労働者が不利益な取扱いをされない旨を定め、周知・啓発する |
4-2. 方針の明確化と面談ルールの設計
方針と行為者への対処内容は、就業規則その他の服務規律を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知します。既存の懲戒規定が求職者等への言動にも適用されると明確にする方法でも、措置として認められています。
今回新たに加わったのが、③の求職活動等に関するルールです。指針は、面談の時間と場所の指定、実施体制、やり取りに使うSNSの種類の指定を例に挙げています。労働者には研修などで周知し、求職者等にはホームページやパンフレットで面談の留意事項を伝えます。厚生労働省の「就活ハラスメント防止対策 企業事例集」には、次のような取組が掲載されています。
| 設計する項目 | 取り入れたい例 | 避けたい運用 |
|---|---|---|
| 場所 | 会社の会議室、大学施設、オンライン。喫茶店やレストランは個室不可 | 個室、カラオケなどの閉鎖的な空間 |
| 時間・体制 | 面談を事前に会社へ届け出る。複数人で対応する | 学生と一対一で、会社に非公開のまま会う |
| 連絡手段 | 会社が指定した連絡手段を使う | 個人のSNSやOB・OG訪問マッチングアプリでの連絡 |
| 飲酒 | 内定者懇親会などの酒席は、質問や配慮の留意点を明記する | 飲酒を伴う二人きりの面談 |
4-3. ハラスメント相談窓口の整備と周知
就活セクハラの相談窓口は、担当者をあらかじめ定める、相談に対応する制度を設ける、外部の機関に相談対応を委託する、のいずれかの形で設置できます。形式的に置くだけでは足りず、実質的に対応できる窓口が必要です。
- 周知先は求職者等です。社内イントラだけでは足りず、ホームページやパンフレットで部署や担当者の連絡先を示します。応募者専用のマイページに載せる場合は、求職者等の全員が閲覧できる必要があります(解釈事項 問39)。
- 人事担当者以外を担当者にする方法があります。求職者等が人事担当者への相談をためらうことも想定されるためです。
- 該当するか微妙な相談にも対応します。発生のおそれがある段階の相談も受け付けます。
- 担当者向けに研修やマニュアルを用意します。人事部門と連携できる仕組みも必要です。
学生は、企業の窓口のほか、大学のキャリアセンターや都道府県労働局にも相談できます。大学などから情報提供があった場合は、連携して対応することが望ましいとされています。
4-4. 事後対応とプライバシー保護
相談があったときは、次の順に進めます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 事実確認 | 相談者と行為者の双方から確認する。主張が食い違う場合は第三者からも聴取する |
| 2. 被害者への配慮 | 被害者と行為者を引き離す対応、行為者の謝罪、人事担当者による相談対応など |
| 3. 行為者への措置 | 就業規則等に基づく懲戒その他の措置 |
| 4. 再発防止 | 方針の再周知、研修の再実施。事実が確認できなかった場合も実施する |
求職者等は社外の人なので、連絡手段や聴取の進め方を事前に決めておきます。相談者や行為者のプライバシーを守る措置を講じ、その旨を労働者と求職者等に周知することも必要です。事実確認に協力した労働者が不利益な取扱いを受けない旨も、あらかじめ定めて周知します。
就活セクハラ対策に加えて、ハラスメント相談窓口、ストレスチェック、メンタルヘルス対策、職場へのカウンセリング導入の4つのお役立ち資料をご用意しています。お申し込み後、すぐにダウンロードいただけます。
5. 義務化された就活セクハラ防止措置を怠った場合のリスク

措置義務の違反そのものに直接の刑事罰はありませんが、義務化に対応しないと、行政の関与、民事・刑事上の責任、採用への影響という3つのリスクがあります。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 行政の関与 | 厚生労働大臣(都道府県労働局)による報告徴収、助言、指導、勧告の対象。勧告に従わない場合は企業名が公表されることがある。報告をしない、または虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料 |
| 民事・刑事上の責任 | 被害者から、行為者は不法行為責任(民法第709条)、企業は使用者責任(同第715条)を問われる可能性がある。行為の内容によっては、行為者個人に不同意わいせつ罪などが成立しうる |
| 採用への影響 | 社会的信用の低下、応募の減少、従業員の意欲やモラルの低下による人材流出(厚生労働省 企業事例集) |
6. 義務化への対応|就活セクハラ防止措置の未実施・実施済み別に今すぐ取り組むポイント

6-1. 未実施の企業が最初に着手する義務化への対応
すでに施行されているため、義務化への対応が未実施の項目がある企業は、就業規則の改定を待たず、すぐにできる措置から始めます。
| 順番 | やること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 1 | 求職者と接する場面と担当者を洗い出す(面接、説明会、インターンシップ、OB・OG訪問、リクルーター、内定者フォロー) | 採用担当の人事だけを対象に考える |
| 2 | 方針を社内に通知し、面談ルール(場所・時間・連絡手段)と相談窓口を採用サイトや募集要項に掲載する | 窓口を社内イントラにだけ載せる |
| 3 | 就業規則に禁止規定と懲戒規定を整える | 規定がないまま、行為者の処分を検討する |
| 4 | リクルーター、インターンシップ担当者、説明会の運営者(派遣スタッフを含む)に研修する | 「相談が来ていない」ことを理由に後回しにする |
| 5 | 周知日、研修名簿、相談記録を残す | 口頭の周知だけで済ませる |
6-2. 実施済みの企業が見直したい義務化への対応
職場のセクハラ対策がある企業でも、そのままでは足りない場合があります。次の点を確認してください。
| 確認項目 | チェックのポイント |
|---|---|
| 規程の対象 | 「労働者」だけでなく、求職者等への言動も禁止・懲戒の対象に読めるか |
| 窓口の周知先と担当者 | 採用サイトや募集要項など、求職者が見る場所に連絡先があるか。選考に関与しない担当者を置けるか |
| 面談ルール | OB・OG訪問やリクルーター面談も対象に含めているか |
| 研修の対象 | 人事以外の面談担当者やインターンシップの受入部署も受講しているか |
| 相談の受付範囲と記録 | 該当するか微妙な相談も受け付けているか。周知、研修、相談対応の記録が残っているか |
6-3. 中小企業・採用が少ない企業の注意点
規模による猶予はありません。専任の担当者がいない企業は、相談窓口の運営や事実確認を外部の専門家と分担する方法もあります。
欠員が出たときだけ採用する企業は、求職者等と接する機会がない間は、すべての措置を講じていなくても差し支えありません。ただし、説明会や面接を始める時点で、すべての措置が必要になります(解釈事項 問37)。
6-4. 義務ではないが整備したいハラスメント対策
義務化の対象は就活セクハラです。面接官の高圧的な言動などパワハラに類する行為は「望ましい取組」の位置づけですが、セクハラ防止の方針と併せて禁止を示しておくと、窓口で受け付ける範囲に迷いません。インターンシップ中の取引先などによる被害や、大学のキャリアセンターからの情報提供にも、相談があれば適切に対応するよう努めます。
改正法や指針の内容は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に問い合わせられます。福岡労働局は092-411-4894(受付8時30分〜17時15分、土日祝・年末年始を除く)です。
7. 就活セクハラ防止措置の義務化に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 就活セクハラ防止措置の義務化は、いつから、どの企業が対象ですか?
A. 2026年10月1日から、企業規模を問わず、採用活動などで求職者等と接する事業主が対象です。
令和7年法律第63号による改正で均等法第13条が新設され、中小企業向けの猶予期間はありません。新卒採用に限らず、求人に応募する人は求職者に含まれます。
Q2. 会社が主催していない、私的なOB・OG訪問での言動も対象になりますか?
A. 会社が主催していなくても、対象になる場合があります。
求職活動等に当たるかどうかは、労働者の職務との関連性、労働者と求職者等との関係性、参加や対応が強制か任意かなどを考慮して個別に判断されます(解釈事項 問30)。会社が把握しにくい経路ほど、申込経路や連絡手段を事前にルール化しておくと、就活セクハラを防ぎやすくなります。
Q3. 既存のハラスメント相談窓口を兼用できますか?
A. 兼用できます。ただし、求職者等が見つけられる形で周知する必要があります。
指針は、窓口の担当者に人事担当者以外を指定する方法も考えられるとしています。外部の機関への委託も、窓口を定めている例に挙げられています。
Q4. 普段は採用活動をしていませんが、対応は必要ですか?
A. 求職者等と接する機会がない間は、すべての措置を講じていなくても差し支えありません。説明会や面接を始める時点で、すべての措置が必要です。
Q5. 措置を講じなかった場合、罰則はありますか?
A. 措置義務の違反そのものに直接の刑事罰はありません。ただし、行政指導や企業名の公表、民事上の責任があります。
厚生労働大臣(都道府県労働局)による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることがあります。被害者から損害賠償を請求される可能性もあります。
8. (一社)日本産業カウンセラー協会のハラスメント相談窓口

指針は、就活セクハラの相談窓口を定めている例として「外部の機関に相談への対応を委託すること」を挙げています。求職者は人事担当者への相談をためらうことが想定されるため、採用の合否に関与しない外部窓口は有力な選択肢です。厚生労働省の調査でも、ハラスメント対策を進める上での課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」が59.6%で最多でした。「プライバシーの確保が難しい」が21.5%、「社内に対応するための適切な人材がいない/不足している」が18.0%で続きます。
8-1. 協会の概要
一般社団法人日本産業カウンセラー協会(JAICO)は1960年に創立され、メンタルヘルス対策、キャリア形成支援、職場環境改善の3つの領域で活動しています。全国に13の支部を置き、会員数は31,862人、賛助会員(企業・団体)は338社です。
8-2. JAICOハラスメント相談のサービス内容
JAICOハラスメント相談は、電話、メール、LINEで相談・通報窓口を開設できるサービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談対応 | シニア産業カウンセラー、産業カウンセラー、公認心理師、臨床心理士、社会保険労務士などの有資格者が対応する。「これまでのできごと」「気持ち」「今後のご要望」を一緒に整理する |
| 企業への報告 | 相談者の同意がある場合や緊急性が高い場合は、相談日の翌営業日までに報告書を送付する。月1回、利用件数や相談概要などの定期報告も行う |
| 事実調査(オプション) | 相談者・行為者・目撃者などへの聴取と、不適切の程度の調査を行い、報告書を提出する |
| 研修(オプション) | 管理職向け・一般社員向けの予防研修、相談窓口担当者向けの相談対応研修 |
| コンサルティング(オプション) | 方針の明確化、相談対応体制の整備、初期対応手順の策定 |
| 費用 | 初期費用は0円。従業員数に応じた料金(詳細は資料でご確認ください) |
全国28か所の相談室との連携や、法務省の認証を受けたADR機関(ADRセンター)による調停サポートも、オプションで利用できます。九州支部では、個人の方向けのカウンセリングと企業・団体の方向けのご相談の両方を受け付けており、求職者を含む個人の方からの相談にも対応できます。就活セクハラ対策としての相談窓口の設計は、お問い合わせの際にご相談ください。
ハラスメント相談窓口の設置や外部委託をご検討中の企業様向けに、お役立ち資料を用意しました。相談窓口設置のチェックリスト、運営の流れ、JAICOのハラスメント対策と問い合わせ先をまとめています。お申し込み後、すぐにダウンロードいただけます。
9. まとめ|就活セクハラ防止措置の義務化への対応

就活セクハラ対策は2026年10月1日に義務化され、企業規模を問わず適用されています。本記事のポイントは次のとおりです。
- 対象は応募者だけでなく、説明会、インターンシップ、OB・OG訪問の参加者や実習生で、オンラインのやり取りも含まれる
- 就活セクハラ対策として講ずべき措置は4つ、11項目。新たに「求職活動等に関するルールの明確化と周知」が加わった
- 就活セクハラは面接以外の個別の接点で起きやすく、企業に届く相談は0.7%にとどまる
- 措置義務の違反そのものに刑事罰はないが、勧告と公表、民事上の責任、採用への影響がある
最初に取り組む内容は、6-1の表で確認できます。社内だけで窓口の運営が難しい場合は、外部の専門機関の活用も選択肢になります。
9-1. 資料ダウンロード
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参考文献
本コラムは、厚生労働省が公表している以下の資料を中心に作成しています。
法令・指針・解釈
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要(令和7年法律第63号)(厚生労働省)
- 事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第52号)(厚生労働省)
- ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(令和8年4月24日、同年9月30日改訂)(厚生労働省)
- 令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!(厚生労働省リーフレット)
調査・事例集
- 職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要(令和5年度厚生労働省委託事業)(厚生労働省、令和6年5月17日)
- 令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(厚生労働省)
- 職場におけるハラスメント対策についての現状等(労働政策審議会雇用環境・均等分科会 第73回 資料1、令和6年10月8日)
- 就活ハラスメント防止対策 企業事例集(厚生労働省)
※本記事は2026年10月25日時点の情報をもとに作成しています。法令等は変更になる場合があります。最新情報は各公的機関の公式サイトをご確認ください。
この記事の執筆者

鈴木 勇太(すずきゆうた)
1988年生まれ。福岡医療福祉大学人間社会福祉学部臨床医療福祉学科卒業。2010年に産業カウンセラー、2015年にキャリアコンサルタント取得。一般社団法人日本産業カウンセラー協会広報・広告部。
https://kyushu.counselor.or.jp/member_suzuki/
この記事の監修者

木村 潤(きむらじゅん)
1960年生まれ。宮崎大学大学院工学研究科工業化学専攻修了。一般社団法人日本産業カウンセラー協会九州支部支部長。
https://kyushu.counselor.or.jp/about/about02/
