
働く人々のメンタルヘルスが重要視される現代、企業がカウンセリングを職場に導入する効果がますます注目されています。厚生労働省の調査によると、仕事に関する強いストレスを抱える労働者は68.3%に上り、メンタル不調による休職・離職は企業経営にも深刻な影響を及ぼしています。
本記事では、職場にカウンセリングを導入する効果や、産業カウンセラーによる傾聴が組織を活性化させるメカニズムについて、厚生労働省の指針や研究データに基づき詳しく解説します。また、社外の専門家による相談窓口を設置するメリットや、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が提供するカウンセリングサービスについてもご紹介します。
企業の経営者、人事担当者、管理職の方々が、従業員のメンタルヘルスケア体制を構築する際の参考となる情報を網羅的にまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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本記事でわかること
- 企業がカウンセリングを職場に導入することで得られる具体的な効果とメリット
- カウンセラーによる傾聴が従業員の心理的安全性を高め、組織を活性化させる科学的根拠
- 社外の専門家に相談窓口を委託することの重要性と、社内窓口との違い
- 厚生労働省が推奨する「4つのケア」とカウンセリングの位置づけ
- 一般社団法人日本産業カウンセラー協会のカウンセリングサービスの特徴と活用方法
目次
1. なぜ今、企業にカウンセリングが必要なのか

1-1. 働く人のメンタルヘルスの現状
厚生労働省が実施した「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活でストレスを感じている労働者は68.3%に上ります。また、メンタル不調により1か月以上休職または退職した従業員がいる事業所は12.8%に達しており、職場のメンタルヘルス対策は待ったなしの状況です。
ストレスの主な原因として、以下のような要因が挙げられます。
- 仕事の量・質の問題(業務過多、責任の重さ)
- 職場の人間関係(上司・同僚との関係、ハラスメント)
- 役割や地位の変化(昇進、異動、配置転換)
- 将来への不安(キャリア、雇用の安定性)
- ワークライフバランスの課題(長時間労働、育児・介護との両立)
これらのストレスが蓄積すると、うつ病や適応障害などのメンタル不調を引き起こし、結果として休職・離職という企業にとっても従業員にとっても大きな損失につながります。カウンセリングは、こうした深刻な事態を未然に防ぐための重要な予防策として位置づけられています。
1-2. 企業に課せられる安全配慮義務とカウンセリングの関係
労働契約法第5条では、企業は従業員が心身ともに健やかに働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。メンタルヘルス対策を怠り、従業員がメンタル不調に陥った場合、企業は安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われる可能性があります。
職場にカウンセリングを導入することは、単なる福利厚生ではなく、法的義務を果たし、企業リスクを軽減するための重要な施策です。従業員が気軽に相談できる環境を整えることで、メンタル不調の早期発見・早期対応が可能になり、重大な事態を防ぐことができます。
2. 職場にカウンセリングを導入する5つの効果

企業がカウンセリングを職場に導入すると、多岐にわたる効果が期待できます。ここでは、特に重要な5つの効果について詳しく解説します。
2-1. メンタル不調の予防と早期発見
カウンセリングの最も重要な効果は、メンタル不調を未然に防ぐことです。カウンセラーによる傾聴を通じて、従業員は自分の抱えているストレスや悩みを言語化し、整理することができます。
早期段階で専門家に相談することで、問題が深刻化する前に適切な対処が可能になります。カウンセリングは「病気になってから受けるもの」ではなく、「心の健康を維持するための予防的な取り組み」として位置づけることが重要です。
2-2. 休職・離職の防止と人材定着率の向上
メンタル不調による休職・離職は、企業にとって大きな経済的損失です。採用コスト、育成コスト、そして業務への影響を考えると、一人の離職による損失は年収の数倍にも及ぶと言われています。
職場にカウンセリングを導入することで、従業員は悩みを抱え込まず早期に相談できるため、休職・離職のリスクを大幅に低減できます。また、「会社が自分の健康を気にかけてくれている」という実感は、従業員エンゲージメントを高め、人材定着率の向上につながります。
2-3. 生産性とモチベーションの向上
厚生労働省の「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」(2017年)によると、プレゼンティーズム(健康問題による業務能率の低下)は、健康関連コストの約8割を占めるとされています。つまり、目に見えない生産性の損失が極めて大きいのです。
カウンセリングを通じて従業員の心理的負担が軽減されると、集中力や判断力が向上し、業務効率が改善します。また、自己理解が深まることで、仕事へのモチベーションが高まり、主体的に業務に取り組めるようになるという効果も報告されています。
2-4. 職場のコミュニケーション改善と心理的安全性の向上
カウンセラーによる傾聴のスキルは、職場のコミュニケーション改善にも応用できます。管理職が傾聴の姿勢を学ぶことで、部下との信頼関係が構築され、チーム内の心理的安全性が高まります。
心理的安全性とは、「チームのメンバーが安心して意見を言い、リスクを取れる状態」を指します。Googleのプロジェクト・アリストテレスという調査でも、生産性の高いチームの共通点として心理的安全性の重要性が示されています。カウンセリングの導入は、組織全体のコミュニケーション文化を改善する契機となります。
2-5. 企業ブランドと採用力の強化
メンタルヘルスケアを含む職場環境の充実は、企業ブランドの向上につながります。特に若い世代は、給与や待遇だけでなく、「働きやすさ」「心理的な安全性」を重視する傾向が強まっています。
カウンセリング制度を整備し、それを採用活動でアピールすることで、優秀な人材の獲得競争において優位に立つことができます。また、「従業員を大切にする企業」としての評判が高まり、取引先や顧客からの信頼も向上します。
3. カウンセラーによる傾聴が組織を活性化させるメカニズム

一般社団法人日本産業カウンセラー協会のカウンセリングの大きな特徴は、「傾聴」を強みとしていることです。ここでは、傾聴とは何か、そしてそれが職場にもたらす効果について詳しく解説します。
3-1. 傾聴とは何か
傾聴(Active Listening / 積極的傾聴)とは、相手の話に耳だけでなく、目や心を傾け、話し手の状況や感情に共感しながら理解し、受け止めるコミュニケーション技術です。単に話を聞くだけでなく、相手の言葉の背後にある感情や価値観を理解しようとする姿勢が重要です。
傾聴の特徴は以下の通りです。
- アドバイスや解決策を性急に提示しない
- 相手の話を評価・判断せずに受け止める
- 相手が自分自身の答えを見つけるプロセスを支援する
- 言葉だけでなく、表情や声のトーンにも注意を払う
3-2. カール・ロジャーズの傾聴三原則
傾聴は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって体系化されました。ロジャーズは、カウンセリングが有効であった事例を分析し、聴く側に必要な3つの原則を提唱しました。
【1】共感的理解(Empathic Understanding)
共感的理解とは、相手の立場に立って、相手の気持ちや考え方を理解しようとすることです。同情(かわいそうと思うこと)ではなく、相手の世界に入り込むように理解する姿勢が重要です。
職場においては、上司が部下の悩みを「自分だったらこうする」という視点ではなく、「この人はどう感じているのか」という視点で理解することで、信頼関係が深まります。
【2】無条件の肯定的関心(Unconditional Positive Regard)
無条件の肯定的関心とは、相手をありのまま受け入れ、善悪や好き嫌いの判断をせずに聴くことです。話し手がどのような感情や考えを持っていても、それを否定せず、肯定的な関心を持って聴きます。
この姿勢により、従業員は「自分の存在が尊重されている」と感じ、本音を話しやすくなります。心理的安全性の基盤となる重要な要素です。
【3】自己一致(Congruence)
自己一致とは、聴き手が偽りのない真摯な態度で相手と向き合うことです。表面的な対応ではなく、自分自身の感情や考えに正直でありながら、相手に誠実に向き合う姿勢を指します。
職場では、管理職が形式的に「何かあったら言ってね」と声をかけるだけでなく、本当に関心を持って部下と向き合うことが求められます。
3-3. 傾聴が職場にもたらす効果
カウンセラーによる傾聴は、職場に以下のような効果をもたらします。
(1)従業員の自己理解と問題解決能力の向上
傾聴を通じて、従業員は自分の感情や考えを言語化し、整理することができます。その結果、問題の本質が明確になり、自分自身で解決策を見出せるようになります。
(2)信頼関係の構築とチームワークの向上
傾聴の姿勢で接することで、相手は「自分が大切にされている」と感じ、信頼関係が深まります。組織全体で傾聴の文化が根付くと、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、協力体制が強化されます。
(3)ストレスの軽減とメンタルヘルスの改善
話を丁寧に聴いてもらうことで、従業員は心理的な安心感を得られます。悩みを言語化し、共感を得ることで、ストレスが軽減され、メンタルヘルスの改善につながります。
(4)組織の活性化とイノベーションの促進
心理的安全性の高い職場では、従業員が自由に意見を述べ、新しいアイデアを提案しやすくなります。傾聴の文化が根付いた組織は、創造性が高まり、イノベーションが生まれやすい環境となります。
4. 厚生労働省が推奨する「4つのケア」とカウンセリング

4-1. メンタルヘルスケアの基本的な考え方
厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、企業がメンタルヘルスケアを推進するための「4つのケア」を提示しています。この4つのケアを継続的かつ計画的に実施することが重要です。
【4つのケア】
- セルフケア:労働者自身がストレスに気づき、対処する
- ラインによるケア:管理監督者が部下の状況を把握し、適切に対応する
- 事業場内産業保健スタッフなどによるケア:産業医や保健師などの専門家による支援
- 事業場外資源によるケア:外部の専門機関(EAPなど)を活用した支援
4-2. 事業場外資源によるケアとしてのカウンセリング
職場のカウンセリングは、守秘義務の観点から「4. 事業場外資源によるケア」を活用、または併用することを推奨いたします。社外の専門機関にカウンセリングを委託することで、以下のメリットが得られます。
- 中立的な立場での相談対応
- 高度な専門性を持つカウンセラーによる支援
- 守秘義務の徹底による安心感
- 社内リソースの負担軽減
重要なのは、4つのケアを単独で実施するのではなく、それぞれを連動させて進めることです。外部カウンセリングと社内の産業保健スタッフが連携することで、より効果的なメンタルヘルス対策が実現します。
5. 社外の専門家によるカウンセリング窓口のメリット

5-1. 社内窓口と社外窓口の違い
企業がカウンセリング窓口を設置する場合、社内に設置するか、社外の専門機関に委託するかという選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、多くの企業では両方を併用しています。
| 項目 | 社内窓口 | 社外窓口 |
|---|---|---|
| 相談のしやすさ | 社内の人には相談しにくい場合がある | 第三者なので話しやすい |
| 中立性 | 人事評価への影響を懸念する | 中立的な立場 |
| 専門性 | 担当者のスキルに依存 | 高度な専門性を持つカウンセラー |
| 守秘義務 | 社内で情報が漏れる不安 | 厳格な守秘義務がある |
| 対応時間 | 勤務時間内が中心 | 夜間・休日対応も可能 |
| コスト | 人件費、育成コスト | 外部委託費用 |
5-2. 中立性と守秘義務の重要性
社外のカウンセリング窓口の最大のメリットは、中立性と守秘義務の徹底です。従業員が「上司や人事に知られるかもしれない」という不安を感じることなく、安心して本音を話せる環境が整います。
特に、職場の人間関係やハラスメント、キャリアの悩みなど、社内の人には相談しにくい内容については、社外の専門家に話すことで初めて解決の糸口が見えることも少なくありません。
5-3. 専門性の高さと多様な対応力
社外の専門機関には、産業カウンセラー、臨床心理士、公認心理師などの高度な資格を持つカウンセラーが在籍しています。メンタルヘルスだけでなく、キャリア相談、ハラスメント相談、復職支援など、多様なニーズに専門的に対応できる点が大きな強みです。
また、対面だけでなく、電話、メール、オンラインなど、複数の相談方法を提供している機関も多く、従業員の状況や好みに応じて柔軟に利用できます。
6. カウンセリング制度の導入方法

6-1. 社内設置と外部委託の選択肢
企業がカウンセリング制度を導入する際の主な選択肢は以下の通りです。
【1】社内にカウンセラーを雇用する
産業カウンセラーや臨床心理士などの資格を持つ専門家を正社員または契約社員として雇用し、社内の相談室で対応する方法です。
メリット:
- 社内事情に詳しく、迅速な対応が可能
- 他部署との連携がスムーズ
デメリット:
- 人件費が高額
- 従業員が相談しにくい場合がある
【2】外部のカウンセリングサービスに委託する
EAP(Employee Assistance Program)などの外部専門機関と契約し、従業員が直接利用できるようにする方法です。
メリット:
- 高い中立性と守秘義務の徹底
- 専門性の高いカウンセラーによる対応
- 導入コストが比較的低い
- 夜間・休日対応が可能
デメリット:
- 社内事情の理解に時間がかかる場合がある
【3】ハイブリッド型(社内+社外)
社内窓口と社外窓口の両方を設置し、従業員が選択できるようにする方法です。多くの大企業がこの形式を採用しています。
6-2. 効果的な運用のポイント
カウンセリング制度を効果的に運用するためには、以下のポイントに注意が必要です。
(1)制度の周知徹底
カウンセリング窓口があることを従業員に周知しなければ、利用されません。社内ポータル、メール、掲示板などを通じて繰り返しアナウンスすることが重要です。
(2)利用のハードルを下げる
「カウンセリングは特別な人が受けるもの」というイメージを払拭し、「誰でも気軽に利用できる」というメッセージを発信します。経営層や管理職自身がカウンセリングを利用し、その体験を共有することも効果的です。
(3)守秘義務の明確化
カウンセリング内容が人事評価や処遇に影響しないこと、守秘義務が厳格に守られることを明示し、従業員の安心感を確保します。
(4)定期的な効果測定
カウンセリング制度の利用状況や従業員の満足度を定期的に調査し、必要に応じて改善を行います。ストレスチェックの結果と連動させることで、より効果的な施策につなげられます。
7. (一社)日本産業カウンセラー協会のカウンセリングサービス

7-1. 産業カウンセラー協会の特徴と専門性
一般社団法人日本産業カウンセラー協会は、1960年の設立以来60年以上の歴史を持つ、日本最大級の産業カウンセリング専門団体です。全国に約31,850名(2024年3月末時点)の産業カウンセラーが所属し、企業や組織で働く人々のメンタルヘルスとキャリア形成を支援しています。
【協会の3つの活動領域】
- 個人への支援:カウンセリングを通じた心のケア
- 組織への支援:職場環境の改善、コンサルテーション
- 教育・研修:カウンセリングスキルの普及、人材育成
【JAICO憲章(こころざし)】
「私たちは、人間尊重の精神に立ち、産業カウンセリングを通して、働く人をめぐる組織と環境の調整、コミュニティの活性化に寄与し、人びとが信頼と安心の絆で結ばれる社会づくりに貢献します。」
7-2. 提供しているカウンセリングサービス
一般社団法人日本産業カウンセラー協会は、企業向けに以下のようなカウンセリングサービスを提供しています。
【1】対面カウンセリング
全国13支部の相談室で、対面でのカウンセリングを実施しています。九州支部の相談室は福岡市博多区にあり、必要に応じて企業へ訪問してのカウンセリングも可能です(会議室などをご用意いただく形で実施)。
【2】電話・オンラインカウンセリング
遠方の従業員や、対面での相談に抵抗がある方のために、電話やオンライン(Web会議システム)でのカウンセリングも提供しています。
【3】メンタルヘルス研修・教育
管理職向けのラインケア研修、従業員向けのセルフケア研修、傾聴スキル研修など、企業のニーズに応じたプログラムを提供しています。
【4】ストレスチェック実施支援
ストレスチェックの実施から結果分析、高ストレス者への面接指導まで、ワンストップでサポートします。
【5】ハラスメント相談窓口
法的に義務化されているハラスメント相談窓口を、中立的な立場から運営します。
7-3. 傾聴を強みとした支援体制
一般社団法人日本産業カウンセラー協会の最大の強みは、「傾聴」を基盤としたカウンセリングです。産業カウンセラーは、厚生労働省の「こころもメンテしよう」でも紹介されているように、話をしっかり聴くことで、相談者が自分自身の力で問題を整理し、解決への糸口を見つける支援を行います。
【カウンセリングがもたらす効果(厚生労働省資料より)】
- 話をしっかり聞いてもらえる
- 今抱えている問題を整理できる
- 自分の考え方のくせや、意外な長所に気づく
- 考え方を今の状況に適したものに切り換えられる
- 人とうまくつきあうための自分なりの方法を見つけられる
- 自分のキャリアについて考えられる
- 人として成長できる
産業カウンセラーは、相談者に対してアドバイスや答えを与えるのではなく、相談者自身が答えを見つけるプロセスを支援します。この姿勢が、従業員の主体性を育み、長期的な成長につながります。
8. よくある質問(Q&A)

Q1. カウンセリングとコーチングの違いは何ですか?
A. カウンセリングは、心理的な問題の解決や悩みの軽減を目的とし、相談者の気持ちに寄り添いながら、相談者自身が答えを見つけるプロセスを支援します。一方、コーチングは目標達成を目的とし、質問や提案を通じて相談者の潜在能力を引き出す手法です。
両者とも「傾聴」が基本となるコミュニケーション技術ですが、目的とアプローチが異なります。職場では、状況に応じて両方を使い分けることが効果的です。
Q2. 企業がカウンセリングを導入する場合、どのくらいの費用がかかりますか?
A. 費用は、導入形態や従業員数によって大きく異なります。社内にカウンセラーを雇用する場合は年間数百万円の人件費がかかりますが、外部のEAPサービスを利用する場合は、従業員一人あたり月額数百円~数千円程度で済むことが一般的です。
具体的な費用は、サービス内容(電話のみ、対面含む、など)や契約形態によって変わりますので、複数の専門機関から見積もりを取ることをお勧めします。
Q3. カウンセリングの内容が人事部や上司に知られることはありませんか?
A. カウンセラーには厳格な守秘義務があり、相談内容が本人の同意なく第三者(人事部や上司を含む)に伝わることは原則ありません。特に社外のカウンセリングサービスでは、企業に対しても個別の相談内容は報告されません(利用状況の統計データのみ共有)。
ただし、自傷他害のおそれがあるなど、緊急性が高い場合に限り、本人の安全確保のために必要最小限の情報を関係者と共有することがあります。
Q4. 傾聴のスキルは、管理職が研修で学ぶことができますか?
A. はい、傾聴のスキルは研修やトレーニングで習得可能です。一般社団法人日本産業カウンセラー協会をはじめ、多くの専門機関が管理職向けの傾聴研修を提供しています。
研修では、カール・ロジャーズの三原則(共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致)を学び、ロールプレイを通じて実践的なスキルを身につけます。継続的な練習により、職場でのコミュニケーションが大きく改善されます。
Q5. カウンセリングを受けることで、本当に職場の生産性は向上しますか?
A. はい、複数の研究でカウンセリングの生産性向上効果が実証されています。厚生労働省の「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」でも、メンタルヘルス不調によるプレゼンティーズム(業務能率の低下)が健康関連コストの約8割を占めることが示されており、カウンセリングによる予防・早期対応が生産性損失を大幅に削減します。
また、従業員が「会社が自分を大切にしてくれている」と感じることで、エンゲージメントが高まり、自発的に業務に取り組むようになるという効果も報告されています。
9. まとめ

本記事では、企業がカウンセリングを職場に導入する効果と、カウンセラーによる傾聴が組織を活性化させるメカニズムについて、厚生労働省の指針や研究データに基づき詳しく解説しました。
【重要なポイントのまとめ】
- カウンセリングの5つの効果:メンタル不調の予防、休職・離職の防止、生産性向上、コミュニケーション改善、企業ブランド強化
- 傾聴の重要性:カール・ロジャーズの三原則(共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致)に基づく傾聴は、従業員の自己理解を深め、問題解決能力を高める
- 厚生労働省の指針:「4つのケア」の一つとして、事業場外資源(社外カウンセリング)の活用が推奨されている
- 社外窓口のメリット:中立性、守秘義務の徹底、高度な専門性により、従業員が安心して本音を話せる環境を提供
- 産業カウンセラー協会のサービス:60年以上の実績を持つ専門団体として、傾聴を核とした高品質なカウンセリングを提供
働く人々のメンタルヘルスを守ることは、企業の社会的責任であると同時に、持続的な成長のための重要な経営戦略です。カウンセリング制度の導入は、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、能力を最大限に発揮できる職場づくりの基盤となります。
一般社団法人日本産業カウンセラー協会は、企業のメンタルヘルス対策を全面的にサポートします。カウンセリングサービスの導入をご検討の方は、まずは資料より詳細をご確認ください。お申し込み後、すぐにダウンロードいただけます。
参考文献
- 厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
- 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
- 厚生労働省「こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト」
- 厚生労働省「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」(2017年)
- 労働契約法第5条(安全配慮義務)
- 厚生労働省「能力開発基本調査」(2022年度)
- 諸富祥彦『カール・ロジャーズ カウンセリングの原点』角川選書(2021年)
この記事の執筆者

鈴木 勇太
1988年生まれ。福岡医療福祉大学人間社会福祉学部臨床医療福祉学科卒業。2010年に産業カウンセラー、2015年にキャリアコンサルタント取得。一般社団法人日本産業カウンセラー協会広報・広告部長。
この記事の監修者

木村 潤
1960年生まれ。宮崎大学大学院工学研究科工業化学専攻修了。一般社団法人日本産業カウンセラー協会九州支部支部長。
